jkatz.net: continuance

すぐれた才能を持つジャズ・ミュージシャンの出現によって、 この偉大な芸術は21世紀へ確実に続いていくことが保証される。 ジョナサン・カッツは、まさにそうした才能豊かなミュージシャンだ。

数年前、私がミルト・ジャクソン・カルテットとの日本ツアーを行っているときに、 思慮深く、自分の思想をはっきりと表すことのできる、年齢のわりに成熟した印象を与える人物を紹介された。 彼は日本語と日本の生活習慣に精通しているだけでなく、その音楽の腕前もすばらしい可能性を秘めたものであることがすぐにわかった。

このCDに収められている音楽で、ジョナサンは聞き手に対して挑戦的であると同時にききやすい曲目と、 しっかりとした知性と感受性を示している。ここでジョナサンは、 ピーター・ワシントンとヨローン・イズラエルによるダイナミックなリズム・セクションと一緒に非常にすばらしい演奏を行っている。 ピーターは、コンテンポラリー・ジャズにおいて一番よく録音されているベーシスト。 ヨローンは、自分の世代で最も人気のあるドラマーの一人として認められておりアーマッド・ジャマル、ジョー・ロヴァーノ、 そして私の現在のグループであるICUと共演している。

このトリオ演奏の中心は、ジョナサンの才気ほとばしる演奏と、選りすぐった曲目、 そして見事なアレンジである。彼の演奏スタイルは、ビル・エヴァンズの影響を大きく受けており、 モンティ・アレキサンダー、トミー・フラナガン、ウィントン・ケリー、ハービー・ハンコック、シダー・ウォルトンからも様々な影響を受けている。 ジョナサンのイマジネーションと技術は、トリオの為にもうけた挑戦に応えるのに充分である。 彼のアイデアは、あざやかで叙情的なメロディを犠牲にすることなく効果を上げている、 きめ細かなリズムと整然と絡み合ったハーモニーの結晶である。

ジョナサンが試みている「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」、 「インビテーション」、「エンジェル・アイズ」、「オール・イン・ラブ・イズ・フェア」、 「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ」などの有名なスタンダードへの新鮮で巧みなアプローチとアイデアに注目してほしい。 これらは、トリオの各メンバーに自由に表現をさせてくれると同時に、 ジョナサンの即興演奏の出発点となっている。

ここで演奏される優れたオリジナル曲にも注目してほしい。 それぞれの曲は独自の個性を持ち、ジョナサンは決してメロディやリズムをさんざん繰り返したり、抑制したりはしない。 私はこのアルバムの中ではおそらく「ウェンディゴ」が一番気に入っている。 この思索的なムードと予想のつかないような柔軟なメロディによって、リズムの枠組みの中でラインとハーモニーが広がっている。

これ以外にも様々なものが、ジョナサンの音楽のキャリアの重要な段階を示している。 自信を持ち、冷静でいて、熱意をもっていれば、必ず機会は訪れる。 そして機会が訪れれば、その呼びかけに、実力を持ち、エネルギーにあふれ、しっかりとした目標を持つ人物が応えるだろう。 それがジョナサン・カッツである。

1998年5月30日
ニューヨーク・シティにて
ジェームズ・ウィリアムズ

 


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